7.12.2024 イベント, その他, ニュース

【レポート】2024年フォーラム・ポーランド会議

12月7日、駐日ポーランド共和国大使館にて、ポーランド広報文化センターおよび駐日ポーランド共和国大使館の協力のもと、フォーラム・ポーランド会議が開催されました。今年のテーマは「ポーランドの地域的多様性、あるいは他者との共生」でした。日本を代表する様々な大学の研究者が演壇に立ちました。

フォーラム・ポーランド代表、田口雅弘教授による開会の辞に続いて、パヴェウ・ミレフスキ駐日ポーランド共和国大使による歓迎の辞ではポーランドの各地域がもつ文化的多様性と豊かさについて述べられました。そののち、ポーランド文化・国家遺産大臣より日本でのポーランド文化普及における偉大な業績に対し沼野充義教授に授与された「ポーランド文化功労章グロリア・アルティス」の授章式が行われ、教授の健康上の理由から夫人である沼野恭子様に、ミレフスキ大使より銅メダルが手渡されました。

沼野充義教授は、ポーランド文学の傑出した翻訳者であり、とりわけスタニスワフ・レムやヴィスワヴァ・シンボルスカ、チェスワフ・ミウォシュ、スタニスワフ・ムロージェク、イグナツィ・クラシツキの翻訳を手掛けられました。これまでにポーランド文化功労章を受章しているほか、読売文学賞、日本におけるポーランド文学普及の顕著な業績に対して与えられるベネディクト・ポラク賞の受賞者でもあります。

今年のフォーラム・ポーランド会議では、次のような講演が行われました。

1.白木太一教授「ヴァルミア司教区とポーランド―コペルニクとクラシツキの時代を中心に―」

2.細田信輔教授「カシューブ人の歴史と知識人-フローリアン・ツェイノヴァの思想と行動(1817-1881)」

3.藤井和夫教授「19 世紀から第2 次大戦までのウッチの発展と他者との共生」

4.衣笠太朗講師「19~20世紀のシロンスクにおける地域性と多様性」

会議にはオンラインで三和昭子氏(ハルクローヴァ村 Villa AKIKO オーナー)も参加、「ハルクローヴァ便り」と題し、ポーランドと日本の関係発展という観点も含めながら、ポトハレ地方の魅力や自身の活動についての様々なお話を加須屋明子教授の司会で伺いました。

会議を彩り豊かなものにしたのは木田左和子氏、草野由美子氏、小早川朗子氏の3人のピアニストによるミニコンサートで、今回取り上げられたポーランドの諸地域などに因んだ音楽が選ばれ、フェリクス・ノヴォヴィエイスキ、イグナツィ・クシジャノフスキ、ヴィトルト・ルトスワフスキ、ズィグムント・ノスコフスキ、ヴォイチェフ・キラルの作品が演奏されました。

会議の最後はウルシュラ・オスミツカ ポーランド広報文化センター所長が締めくくりました。会議にはフォーラム・ポーランドのメンバーに加えポーランドに関心を持つ100名近くの聴衆が参加しました。

フォーラム・ポーランドは日本で2005年から活動を行っている組織であり、日本でポーランドに関する知識を広く普及させること、および、ポーランドの文化・芸術・歴史・文学ほかあらゆる分野の研究者の交流やポーランドに関係のあるあらゆる団体個人同士の繋がりを促進させることを目的としています。フォーラム・ポーランドは毎年東京でポーランドをテーマにした会議の全国大会を開催しています。会議は学際的、学術的であると同時に一般の方にもお楽しみ頂けるものとして企画されています。

またフォーラム・ポーランドはポーランド広報文化センターとの協力のもと、《ポーランド古典文学叢書》および《ポーランド史叢書》という各シリーズにおいて毎年出版活動もしています。2024年には小原雅俊監訳『ジェロムスキ短篇集』(未知谷)および白木太一著『国民教育委員会 ヨーロッパ最初の「文部省」』(群像社)が刊行されました。

写真:フォーラム・ポーランド、ポーランド広報文化センター

Scheduled イベント その他 ニュース