4月11日、ワタリウム美術館にて鴨治晃次氏の個展オープニング・セレモニーが開催されました。個展「不必要なもので全体が混乱しないように」は、ポーランド共和国文化・国家遺産大臣ハンナ・ヴルブレフスカ氏の名誉後援のもと、ザヘンタ国立美術館とアダム・ミツキェヴィチ・インスティテュートによって主催され、ワタリウム美術館(東京)、ラゼム・パモジャ財団およびポーランド広報文化センターとの協力により実現しました。
本展のキュレーターはポーランド・ワルシャワにあるザヘンタ国立美術館のマリア・ブレヴィンスカ氏です。展示は6月22日まで東京で公開されています。
同展は、日本では初となる鴨治晃次氏の個展であり、1960年代からポーランドで活動してきた同氏が90歳を迎えたことを記念して企画されたものです。絵画、オブジェ、インスタレーションを含む鴨治氏の創作活動を包括的に紹介する回顧展となっています。
鴨治氏は日本・東京生まれでありながら、ポーランド現代美術界の最も重要なアーティストの一人と見なされています。ミニマリズムを極めた彼の芸術は、東洋と西洋の両世界からインスピレーションを得ているとされ、極限までに簡素でかつ調和のとれた表現を追求するものとして評価されています。
鴨治氏の生み出す作品と同じく注目されているのが、彼がこれまで辿ってきた人生の物語です。武蔵野美術大学を卒業後、ポーランド文学の優れた翻訳者である伯父・梅田良忠から聞いたポーランドの話に魅了され、鴨治氏はポーランドへの旅に出ます。そしてその後、ポーランドの地が現在に至るまで彼の活動拠点となったのです。1966年にはワルシャワ美術アカデミーを卒業し、フォクサル・ギャラリーとの活動を開始。以降、ポーランドを代表するアーティストとなりました。
鴨治氏はポーランド国内外で数多くの展覧会を開催しており、ツィプリアン・カミル・ノルヴィト芸術批評賞、ヤン・ツィビス賞、カタジナ・コブロ賞など、数々の賞を受賞しています。2025年3月18日には、ワルシャワのザヘンタにて、ハンナ・ヴルブレフスカ文化・国家遺産大臣より、文化功労章「グロリア・アルティス」の最高章である金メダルを授与されました。
写真:ポーランド広報文化センター









