去る11月3日、福井県にある人道の港 敦賀ムゼウムにて、企画展 「ワルシャワ。灰の中から甦る不死鳥」 のオープニングセレモニーが催されました。ワルシャワ蜂起80周年記念事業の一環として企画された本展が日本で開催されるのは、広島(2023年11月15日~2024年2月5日)、大阪(2024年4月16日~7月17日)、札幌(2024年8月8日~8月30日)に続き、今回の敦賀が4会場目となります。
本展はワルシャワ蜂起博物館とワルシャワ市、アダム・ミツキェヴィチ・インスティチュートが、ポーランド共和国外務省、ポーランド広報文化センターの協力を得て、人道の港 敦賀ムゼウムと共同で開催するものです。
オープニングセレモニーでは、トマシュ・グヴォズドフスキ 駐日ポーランド共和国大使館次席、田中睦 福井県知事代理、米澤光治 敦賀市長、ヤン・オウダコフスキ ワルシャワ蜂起博物館館長がそれぞれ祝辞を述べました。また会場には、日頃より人道の港 敦賀ムゼウムのボランティアガイドとして活動を行う敦賀市の高校生や福井大学の学生たちの姿も見られました。
本展は、ワルシャワの歴史を3つの時代に分けて紹介しています。ヨーロッパの首都として目まぐるしく発展する戦間期のワルシャワから始まり、ここでは当時の華やかな大衆文化を知ることができます。続いて紹介されているのがドイツ占領下のワルシャワ。ユダヤ人とポーランド人が直面したナチスの迫害政策や、路上での無差別襲撃、過酷な生活環境を強いられていた人々の様子が紹介されています。そこから展示のハイライトとも言えるワルシャワ蜂起に関する内容が続き、展示の締めくくりとなるのは、戦後のワルシャワに関するパネル。まさに灰の中から甦る不死鳥のように、現代都市となるべく社会全体の力で復興を遂げた新しいワルシャワの歴史が紹介されています。
―――特別展「ワルシャワ。灰の中から甦る不死鳥」は、若い世代を意識して準備しました。そのため、蜂起の記録映像から得たカラフルなアーカイヴ写真、記録文書のコピー、レプリカ、オーディオ資料、マルチメディアを使用した体験的要素も織り込んでいます。また、来場者の皆さまには、1945年の春に破壊され、見捨てられたワルシャワの上空を飛行する航空機映像をデジタルで再現した、「廃墟の街」という短編映画もご覧いただけます。廃墟となった当時のワルシャワを、現代のワルシャワと比較することで、今日の首都がどれほど素晴らしい存在なのかを実感していただけることでしょう。―――こう述べるのは、ヤン・オウダコフスキ ワルシャワ蜂起博物館館長。オウダコフスキ館長は、オープニングセレモニー終了後に展示場で来場客向けのパネル紹介を行いました。
今回本展の開催地となった敦賀は、ポーランドと日本の交友関係を語る上で非常に重要な場所です。1920年代、ポーランド孤児救済委員会が当時日本の外務省や日本赤十字と協力して救出したシベリアのポーランド孤児たちが、ウラジオストクからたどり着いた先が、敦賀港でした。また1940年代には、ナチス・ドイツの迫害を逃れたユダヤ系ポーランド人を含む多くの難民たちが、リトアニアのカウナスで杉原千畝領事が発行した「命のビザ」を手に、この敦賀港へやってきました。
米澤光治 敦賀市長は祝辞スピーチの中で、ワルシャワ防衛のため戦った蜂起部隊の中に、かつて敦賀で救済を受けたシベリアのポーランド孤児であったイェジ・ストシャウコフスキが指揮する特別部隊「イェジキ」が存在していたことに言及し、ワルシャワ蜂起と敦賀の強い結びつきを強調しました。米澤市長はまた、2023年に敦賀の高校生派遣団をポーランドに招待したポーランド上院議長に深い感謝の意を表し、敦賀の高校生たちがワルシャワ蜂起博物館を現地で見学したことを報告しました。
企画展 「ワルシャワ。灰の中から甦る不死鳥」 は、敦賀にて2025年2月24日まで開催されています。
写真:ポーランド広報文化センター