23.06.2025 イベント, ビジュアルアート, 映画

京都にて『アンジェイ・ワイダ 私のインスピレーション』上映会開催

6月8日、京都国立近代美術館 講堂にて、ドキュメンタリー映画『アンジェイ・ワイダ 私のインスピレーション』の上映会が開催されました。本作は、アンジェイ・ワイダ自身およびマレク・ブロツキの監督により制作されたもので、冒頭にはマーティン・スコセッシのメッセージが収録されています。

アンジェイ・ワイダは、2016年に制作された自身最後の作品の一つであるこのドキュメンタリー映画の中で、〈若きポーランド〉時代を含むポーランド人芸術家の絵画作品に自身がいかに魅了されたか、また映画制作や舞台演出にあたって彼らの作品からどのようなインスピレーションを受けたかについて語っています。同美術館で開催中の〈若きポーランド展〉を鑑賞する方々にとっても、このドキュメンタリー映画は展示をよりよく理解するための一助になったことでしょう。同展にもその一部が展示されているヤン・マテイコ、スタニスワフ・ヴィスピャンスキ、ヤツェク・マルチェフスキ、あるいはユゼフ・ヘウモンスキといった芸術家の具体的な作品が、『婚礼(Wesele)』や『約束の地(Ziemia obiecana)』、『白樺の林(Brzezina)』、『戦いのあとの風景 (Krajobraz po bitwie)』といったワイダ映画における特定のシーン演出にあたっていかに強いインスピレーション源となったかがわかる内容となっています。

本作の上映に先だって、ポーランド映画の専門家として右に出る者のない久山宏一博士による解説動画の映写が行われました。久山氏はこのドキュメンタリー映画が製作されることになった背景やその制作にかかわった人々についての説明を行いました。久山博士は30年以上にもわたり、ポーランド文学や映画、ポーランド演劇の翻訳、そしして学生たちへのポーランド語やポーランドの文化・歴史に関する教育活動にも携わり、後進の育成に尽力されてきました。こうした功績が称えられ、これまでにポーランド共和国文化・国家遺産省より文化功労章(2013年)、同外務省よりベネ・メリト勲章(2017)、そして同文化・国家遺産省文化功章「グロリア・アルティス」銅メダルを受章されています。

アンジェイ・ワイダ監督が絵画から得たインスピレーションに焦点を当てた本作の上映会は、現在京都国立近代美術館で開催中の「〈若きポーランド〉ーー色彩と魂の詩(うた)1890-1918」展の関連イベントのうち、ポーランド広報文化センターの主催で実施されるものとしては最後の企画となりました。〈若きポーランド展〉は今年3月25日に開幕し、6月29日までご覧いただけます。巡回展はありませんのでどうぞこの機会を逃さずご鑑賞ください。

写真:ポーランド広報文化センター

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