2024年12月10日、国立映画アーカイブ(NFAJ)において、「映画監督アンジェイ・ワイダ」展のオープニングセレモニーが開催されました。本展示は、ポーランドの映画・演劇界の巨匠であり、アカデミー賞を受賞した監督アンジェイ・ワイダを取り上げた内容になっています。ワイダ監督は「灰とダイヤモンド」(1958年)、「鉄の男」(1981年)、「ダントン」(1982年)、「コルチャック先生」(1990年)など、数々の伝説的な作品を生み出しました。
今回のセレモニーには、国立映画アーカイブの岡島尚志 館長、ポーランド共和国文化・国家遺産省のマルタ・チェンコフスカ副大臣、クラクフ日本美術技術博物館カタジナ・ノヴァク館長、アダム・ミツキエヴィッチ・インスティチュートのオルガ・ヴィソツカ所長、本展示会のキュレーターを務めるラファウ・シスカ教授などが出席し、来場者に展示内容を紹介しました。
回顧展として開催されている本展示では、2025年3月23日までの期間、ワイダ監督に関連する貴重な資料が公開されています。主な展示内容には、ワイダ監督が所蔵していた手紙やスケッチ、ノートなどのほか、映画のスチール写真やポスター、衣装、そしてアカデミー賞やカンヌ映画祭のパルム・ドール(「鉄の男」1981年)などの受賞トロフィーも含まれています。
本展は、6つの展示ゾーンから構成されています。最初のセクション「子どもの神話」では、ワイダ監督が19世紀のポーランドに対し抱いていた憧憬、そしてそれが彼の映画に与えた影響について紹介されています。次のセクション「地獄」では、ワイダ監督がナチス占領下のポーランド人の抵抗をどのように描いたか、特に映画「灰とダイヤモンド」などを例として取り上げ、作品と共にその背景を解説しています。続くセクション「新しい波」では、1950年代後半から世界映画を刷新した《新しい波》の一翼を担う「ポーランド派」のリーダーとして、世界の映画界に革命をもたらしたワイダ監督の姿を捉えます。4つ目のセクション「革命」では、ワイダ監督がポーランドの自由民主化運動「連帯」とどのように関わり、ポーランドにおける政治体制の変革において彼が果たした役割を取り上げています。「(不)死」のセクションでは、ワイダ監督の映画に見られる静けさと郷愁の側面が掘り下げられ、展示の最後を飾るセクション「日本」では、ワイダ監督と日本との深い関係に焦点が当てられています。
展示会は、クラクフ日本美術技術博物館が主催し、アダム・ミツキエヴィッチ・インスティチュートおよび国立映画アーカイブが共催となっています。さらに、クラクフ国立博物館とポーランド広報文化センターもパートナーとして企画協力を行っています。
本展は、ポーランド文化・国民遺産省の助成を受け、ポーランド文化・国民遺産大臣ハンナ・ヴルブレフスカ氏の名誉後援のもとで実施されています。
また展示に合わせて、アダム・ミツキエヴィチ・インスティチュートおよびポーランド広報文化センターとの協力のもと、アンジェイ・ワイダの映画14作品(2024年12月10日~26日)を特集した上映会も行われています。
写真:ポーランド広報文化センター