23.10.2025 - 23.11.2025 イベント, ニュース, ビジュアルアート

アレクサンドラ(サーシャ)・ヴィエリチコ氏 SEEEUフォトエッセイ賞受賞

10月23日、駐日欧州連合(EU)代表部ヨーロッパハウスにて、オープニングセレモニーにより写真祭「SEEEU ヨーロッパ写真月間2025」が開幕しました。

本イベントは、欧州連合(EU)代表部およびNPO法人KOI NIPPON主催、アーツカウンシル東京およびEU加盟国の駐日大使館や文化組織の協力、並びに数々の日本のパートナーによって開催されています。セレモニーでは、駐日欧州連合副代表トーマス・ニョッキ氏とNPO法人KOI NIPPON代表セルゲイ・グリゴリエフ氏より開会のご挨拶を賜り、式には外交団、アーティスト、キュレーター、現地パートナー、日本の主要メディア関係者が出席しました。

SEEEUとは、文化交流と対話のための新たなプラットフォームであり、優れたキュレーターやアーティスト、ヨーロッパおよび日本のパートナーが一堂に会します。2025年10月23日(木)から11月23日(日)までの期間、14名のアーティストによる250点以上の作品(552点より選出)が東京の公共文化施設12か所に展示され、また同時に、日本人におけるヨーロッパ像や同地でのプロセスに関するアップデートや、ヨーロッパと日本のパートナーの対話の強化を目的とした数々のワークショップイベントやディスカッションが開催されます。本ヨーロッパ写真祭の一環として、在京ベルギー大使館では、SEEEU 2025に参加したアーティストの作品のオークションが日本のウクライナ避難民のために開催される予定です。

ヨーロッパハウスでのオープニングセレモニーでは、グローバルな文脈におけるヨーロッパを描く優れた作品に贈られるSEEEUフォトエッセイ賞コンテストの受賞者が発表されました。受賞したのは、ベラルーシ出身で2021年よりワルシャワに創作拠点を置くアレクサンドラ・ヴィエリチコ(サーシャ・ヴィエリチコ)氏。同氏はポーランド広報文化センターの支援によりSEEEU 2025に参加しました。

ヴィエリチコ氏は本展において「否定の状態(原題:State of Denial)」と題した作品を発表し、フェイクニュースやプロパガンダで形成されたデジタル化の現状における人間の生活に焦点が当てられています。作品は2部構成となっており、第1部はベラルーシでの平和デモへの参加を理由に人々が逮捕されるという不条理かつ恐るべき拘束の歴史、第2部はこの逮捕が行われた日々に報道された取るに足らないニュースの見出しに基づいて演出された写真です。この危機的状況において恐怖の拘束という事実から目を逸らすようにプロパガンダが視覚的情報という名の雑音を作り出している様を描いています。さらに、本作は不要でくだらない娯楽で自分たちの心を満たしながら重要な問題から目を逸らそうとする人間の傾向を考察しています。

アレクサンドラ・ヴィエリチコ氏は政治的なテーマや人類の記憶、トラウマ的体験などを扱うアーティストです。放射物理学の学術的知識を持つ同氏は芸術活動に活用し、技術と美術を融合した作品を生み出しています。ベラルーシでの政治的迫害と亡命を余儀なくされた同氏は2021年にワルシャワに移住し、芸術活動を続けています。

同氏はポーランド国内外において数々の展示会に登場しており、国内では、2024年クラクフ・ブンキェル芸術ギャラリー、2024年ワルシャワ・ポーランド国立ザヘンタ芸術ギャラリー、2024年ワルシャワ・AI-art night、また、国外では、2024年シンガポール国際写真祭、2024年パリ・Festival Circulation(s)に参加しました。2023年には「若手写真家がベラルーシにおける迫害の芸術的ドキュメンタリーを描く作風」に対してコンラト・プストワ記念奨学金を獲得しています。

 

写真:ポーランド広報文化センター

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