5.05.2023 ポーランド関連コラム

自由と連帯はポーランドのDNA

5月に、私たちは挙ってポーランド的なるものを祝います。ポーランド人も、ポーランドの友人たちも」――アルカディ・ジェゴツキ教授

 

5月は、一年の他の月にはないほど、私たちの歴史と現在の重要な記念日が重なります。232年前の5月3日、ポーランド下院はヨーロッパ大陸で最初の憲法を採択しました。それはポーランドの進路だけでなく、偉大なポーランド・リトアニア共和国(セレニッシマ・レス・パブリカ・ポロニアエ)の強さと大きさの表現でした。今年の5月にはまた、私たちは、精神的な地図におけるポーランドの位置を不可逆的に変えることになった、ポーランドの西欧機構加盟記念日を祝っています――19年前にポーランドが欧州連合に加盟したからですが、NATOにはそれ以前から加盟していました。憲法の採択と西欧への加入という2つの5月の記念日は、ポーランドの遺産、すなわちその衰退と復興の歴史を束ねる時間枠です。

 

ポーランド文化遺産の日(Polish Heritage Days)は、5月いっぱい続く祝賀行事です。 ポーランド・リトアニア連合時代の自由獲得の偉大な成果を祝賀し、独立回復を祝賀し、共産主義崩壊を祝賀し、過去30年間におけるポーランドの経済的飛躍を祝賀します。ポーランド遺産の日の行事を通して、ポーランド的なるものから私たちが覚える喜びを表明するようになって、今年で早くも7回目になります。行事の目的は、ポーランド文化、過去の世代の遺産、文化的・経済的・社会的生活へのポーランドの貢献を祝賀し広報することにあります。ヴィトルト・ピレツキが守護者(パトロン)となる今年、行事を主導する合言葉は「ポーランド。自由のための連帯」です。自由と連帯は、他の価値以上に、ポーランド的なるものの根幹を成しており、私たちはその表れを最近1年半に目の当たりにすることができました。自由と連帯は、ポーランド人としての私たちの在り方の根底にあるのです。

 

自由についてのポーランド的理念は、数世紀前から共和国を構成する価値であり続けています。 ヤギェオ朝とポーランド・リトアニア共和国は、西ヨーロッパには見られない多種多様な自由と公民権を国民に付与する始まりでした。フランスでは絶対主義が支配していたとき、ポーランドの貴族(シュラフタ)は王を選挙で選んでいました。西ヨーロッパでは宗教戦争が繰り広げられていたとき、共和国下院はワルシャワ連合法を公布し、あらゆる宗教を実践する自由を法的に保証しました(ジョン・ロックの画期的な「寛容に関する手紙」の出版が1世紀以上後であったことを思い出すだけでも十分でしょう)。個人の不可侵性と裁判所の許可なしの逮捕禁止を保証する法治国家の基準は、早くも1433年にイェドルニャの特権によって共和国に導入されていました。

 

自由というポーランド的遺伝子は、分割国が強く試みたにもかかわらず、根絶されることはありませんでした――十一月蜂起と、私たちが今年160周年を祝っている一月蜂起はその最良の例です。

自由という理想へのポーランド人の愛着は、20世紀において特に顕著でした――第二次世界大戦中、それは全体主義との戦い、ヨーロッパ規模で前例のないポーランド地下国家の建設、ワルシャワのゲットー蜂起、それに続く首都全域での蜂起に現れました。自由と民主主義への希求が最も完全な形で具現化したのが、1989年にポーランドにおける共産主義崩壊を導いた〈連帯〉でした。ポーランドにおける自由・議会・民主主義の伝統が傑出したものであることに疑問の余地はありません。重要なのは、今日の中東欧全地域がそれを共有していることです。それ故に、ウクライナでの戦争がヨーロッパの平和的努力とその安全保障構造に影を落としている今日、連帯と自由の祝賀は特別な意味を持つのです。自由と連帯という合言葉は、キーウにいる私たちの友人たちを支援するすべての人々が口にするべきです。

 

ポーランド文化遺産の日は、ポーランドとポーランド国外のすべてのポーランド人だけでなく、国籍に関係なくすべてのポーランドの友人への招待状です。ポーランドの外交代表部の支援により、展示会から、野外イベント、コンサートに至るまで、数十ものイベントが参加費無料で催されます。他の国々も共同での祝賀に加わります――カナダ最大の州であるオンタリオでは、5月はポーランド文化遺産月間です。

 

ポーランド外務省外交責任者を務める私は、すべてのポーランド国民がポーランドを広報することができる、そして最も効果的に広報することができるのは、しばしば祖国を離れて住む人たちである、と確信しています。だからこそ、この機会を使いましょう、私たちの友人や同僚を共同の祝賀に招待しましょう――たとえば赤白のリボンを飾るだけでもけっこうです。5月が一月を通して、赤白の色に満たされるようにしましょう。自由と連帯という私たちの遺産を祝賀しましょう!

 

アルカディ・ジェゴツキ

このテキストは、国立記銘院とポーランド国家財団との歴史プロジェクトの一環として、ポーランドの月刊誌「最も大切なことのすべて(„Wszystko co Najważniejsze”)」に同時掲載されました。


アルカディ・
ジェゴツキ教授

(ポーランド外務省)外交最高責任者、政治学者、ヤギェロン大学教授。在ロンドンヤギェロン大学ポーランド学術センター提唱者・所長。20162021年、駐英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)ポーランド共和国大使。

 

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