6.06.2022 ニュース

久山宏一博士が「文化功労章グロリア・アルティス」メダルを受賞

6月2日に駐日ポーランド共和国大使館にて久山宏一博士への「文化功労章グロリア・アルティス」ブロンズメダルの授与式が行われました。「文化功労章グロリア・アルティス」は、ポーランド共和国内閣副首相兼文化国家遺産大臣ピョトル・グリンスキ教授が、駐日ポーランド共和国大使館とポーランド広報文化センターからの申請によって認められるものです。メダルはパヴェウ・ミレフスキ駐日ポーランド共和国大使から授与されました。

久山宏一博士はポーランド広報文化センターの職員であり、映画、演劇、ポーランド語のエキスパートです。ポーランド語、ポーランドの歴史・文化の講師として東京外国語大学でも勤務しています。ポズナンのアダム・ミツキェヴィチ大学で人文学の博士号を取得しています。

30年以上も前からポーランド文学やポーランド映画の翻訳に従事し、ポーランド演劇の普及に努め、ポーランドの言語・歴史・文化を学生に教育しています。

久山博士は、主にポーランドの映画や演劇の分野において、ポーランドに関する知識の積極的な普及者であり、彼の出演や講演は非常に人気があります。ポーランド語/日本語の最も優れた通訳者でもあります。それは同時通訳・逐次通訳のどちらにも言えます。ポーランドの要人が訪日した際に多数の通訳を担当しました。

久山博士はその貢献から、2013年にポーランド文化・国家遺産省より「ポーランド文化功労章」勲章、2017年に国際的にポーランドの地位を強化する活動に対し外務大臣よりベネ・メリト勲章、2019年に世界にポーランドの演劇文化を普及させたことに対して国際演劇協会ポーランドセンターのヴィトキェヴィチ記念賞が授与されました。

久山博士は、スラブ言語学、比較文学、映画研究、演劇研究などの分野で多くの学術論文を発表しました。主に以下のものが挙げられますーー「20世紀末ポーランドのロマン主義――ミツキェヴィチの作品の脚色について」、「『カティンの森』ーー小説と映画」、「日本における『クオ・ヴァディス』の受容概念」、「書籍『ブルーノ・シュルツの世界』におけるシュルツと映画とその他について」、「日本における『パン・タデウシュ』受容の真実と謎」、「日本におけるノルヴィド受容の歴史」、その他多数。

博士は40作品以上ものポーランド映画を日本語に字幕翻訳しました。主に以下のものが挙げられますーースタニスワフ・レムの作品を元にしたアンジェイ・ワイダ監督作品『寄せ集め』、『灰とダイヤモンド』、『パン・タデウシュ物語』、『復讐』、『カティンの森』、『菖蒲』、『ワレサ 連帯の男』、『残像』ほか、クシシュトフ・クラウゼ監督『Saviour Square』、ボリス・ランコシュ監督『裏面』、ヤン・ラスコフスキ監督作品等。

また、東京での数々のポーランド映画上映会の開催にも携わりました。

久山博士の最も重要な翻訳書には以下のものがありますーーNPOフォーラム・ポーランドとポーランド広報文化センターによる企画「ポーランド文学古典叢書」の一環で出版された『ソネット集』と『コンラット・ヴァレンロット』、スタニスワフ・レムの『大失敗』、『仮面』、『テルミヌス』、ノルヴィド作品、アンジェイ・ワイダ作品、チェスワフ・ミウォシュの『チェスワフ・ミウォシュ詩集』(関口時正教授、沼野充義教授編)、オルガ・トカルチュク『優しい語り手――ノーベル文学賞記念講演』。

演劇でも、ピォトル・ㇳマシュク、ヤン・クラタ、『Woodcutters –伐採–』(クリスティアン・ルパ演出)の翻訳を手掛けました。

久山宏一博士のポーランド映画と演劇のプロモーション活動は、日本におけるポーランド文化への興味を高め、知識を深めることに貢献しました。

 

Scheduled ニュース